名古屋工業大学 窒化物半導体マルチビジネス研究センターは、「名古屋工業大学(極微デバイス機能システム研究センター)」が世界に先駆けて研究開発を進めてきた独自技術である「GaN/Siパワーデバイス」の技術の確立、実用化・事業化を目指して、「技術の橋渡し」拠点となることを目的とし、平成25年9月20日に発足しました。
今までのパワーデバイスでは、基板材料として主にシリコン(Si)半導体が使われており、すでにエアコン、家電製品、自動車、新幹線等、多種多様な分野で省エネルギーや性能向上に大きな役割を果たしています。しかしながら、今後、世界中の人々が快適な生活を求め、家電製品、電気自動車やインターネット等を使用することが予想され、電力エネルギーの需要が増大するものと考えられる中、Si半導体だけではそのような状況に対応することが困難となっています。
このような状況において、火力発電や原子力発電への依存を抑えながら、電力エネルギーの安定な供給を確保しつつ「持続可能な社会」を実現するため、より一層の省エネルギー化を促進し、電力エネルギーを無駄なく有効に利用できるパワーデバイスとして、名古屋工業大学が30年以上にわたって研究開発を続けてきた、『窒化物半導体(GaN)成長技術を用い、Si基板上に厚さが5~10μm程度の非常に薄いGaNを成長させるだけで、従来のSi基板がSiとGaNの両者の特徴を兼ね備えた高性能・高機能の「GaN/Si基板」として生まれ変わり、その結果、従来のSi基板だけによるパワーデバイスの特性を大幅に改善できる「改良型Siパワーデバイス」』、すなわち「GaN/Siパワーデバイス」の実用化がいま切実に求められています。
本センターにて得られた研究成果を従来のSi半導体と窒化物半導体との集積化デバイスなどへ展開することにより、日本の半導体産業の再生、雇用の確保・創出、国際競争力強化及びパワーデバイス市場への導入・普及によるCO2削減、低炭素社会の構築、グリーンイノベーションの実現、国際標準化の促進、人材育成、さらには新しい産学官連携モデルの実践へ貢献することを目指しております。皆様のご支援・ご協力をお願い申し上げます。
2022年4月1日 センター長・教授 三好実人
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最終更新日:2024/07/27