設置目的

名古屋工業大学 極微デバイス次世代材料研究センターは、学内共同教育研究施設として、「極微細な構造をした新規半導体材料及び新機能デバイスの研究開発並びに産業・生産技術に直結した技術の確立等を行い、もって教育・研究の進展に資すること」を目的として平成27年4月1日に発足しました。名古屋工業大学 極微デバイス機能システム研究センターでこれまで行われてきたシリコン基板上への化合物半導体結晶成長の研究を基礎に、 - シリコン基板上新規材料の結晶成長技術の確立 - IT社会に必要不可欠なキーデバイスの要素技術確立 を研究目的の二つの大きな柱として、研究を行っております

デバイスとは

 本センターの名前にある「デバイス」とは「工夫を凝らした物」という意味で,「装置」と和訳される場合もあります。「コンピュータの出力デバイスとしてプリンタを選択する」などと使われる場合にはこの訳がぴったりです。でも本センターで研究しているのは半導体デバイスです。トランジスタ,半導体レーザ,集積回路などのように半導体を使って,役に立つ機能を持たせるように工夫を凝らして作ったものを半導体デバイスと呼んでいます。

 半導体デバイスを作るには多くの先端技術を使うのですが,本センターの研究の特徴のひとつがヘテロエピタキシャル技術の研究です。これは異種材料を一体化する技術で,本センターではこれまでGaAs(ひ化ガリウム,通称ガリウムひ素)とSi(シリコン)を一体化させる研究を初めとし、現在ではGaN(窒化ガリウム, 通称ガン)をSi基板上に成膜する研究を中心に活動を行っています。GaAsやGaNはCD, DVDプレイヤなどに使われている半導体レーザ用の材料です。Siはコンピュータチップなどに使われている材料で電子回路用には広く使われているのですが発光デバイスを作ることができないのでこれらを一体化して光回路と電子回路を一体化した光電子集積回路を作るというのが本センターの当初の目的のひとつですが、現在はGaN系半導体を用いた大電流、高電界を扱うパワー半導体デバイスの開発を目指しています。

 現在のコンピュータはSi半導体を基にムーアの法則に従って集積化が進みましたが、近い将来に集積化の限界が訪れます。その際にGaN等の新規半導体を使用したパワーデバイス(電力変換等に使用します)をSi基板上に作製することができれば、SiとGaNの長所を併せたデバイスを作製することができるので、これを実現しようと研究を続けています。話が変わりますが,太陽電池は半導体でできており,GaAsやGaN、Siも太陽電池用材料として優れた材料です。太陽電池は太陽光を電力に変換するデバイスで,エネルギー問題や環境問題との関係で大きな期待を持つ人がいる一方で効率が悪いのが欠点だと言われています。しかし,レーザ光のような単色光ならば光エネルギーから電気エネルギーへの変換はそんなに困難なことではありません。ただ,ある波長(色)の光で最大効率になるように作るとそれより波長が長い光に対しては変換効率が0になってしまい,最大効率波長より短波長の光に対してはほぼ波長に比例して効率が悪くなってしまうのです。太陽光は紫外から赤外までの広い波長範囲の光を含んでおり,ある波長で最適化すると他の波長では効率が下がるので全体として効率が下がってしまうのです。最大効率が得られる波長は使用する材料によってほぼ決まるので,もしGaN系半導体とSiを一体化してそれぞれの太陽電池を積み重ねた積層型(タンデム型)にすると短波長光はGaN系半導体で電力に変換し,長波長光はSiで電力に変換することができて超高効率の太陽電池ができることが理論的に予測されます。本センターで主として研究している材料はこの目的に最適なので,このような原理を用いた超高効率太陽電池の開発も行っています。

 本センターではこの外にも,グラフェンなど,他の半導体の研究や屋上に太陽電池パネルを設置する等の活動も行っており,持続可能な社会を支えるデバイスの創造を目指しています。

主な業務

FuturePlan