Si基板上への化合物半導体のヘテロエピタキシャル成長

fig1 fig1

シリコン基板上窒化ガリウム系発光デバイス

従来、発光デバイスに用いられている半導体材料(ガリウム砒素やインジウムリン)には、砒素等の毒素が含まれており、 廃棄時に問題となっている。また、これらの材料では緑や青色は発光できない。毒素を含まない半導体材料として窒化ガリウム系半導体がある。しかし、成長用基板としてサファイアやシリコンカーバイドという高価な基板を使用しているため、低コスト化が課題になっている。このような毒性およびコストの問題は、シリコン基板上の窒化ガリウム系発光デバイスにより解決できる。
シリコン基板上窒化ガリウム系半導体を用いた発光デバイスは、つぎのような特徴がある。

このシリコン基板上窒化ガリウム系半導体を用いた発光デバイスが実用化されると、以下のような製品に応用できる。 fig1

シリコン基板上窒化ガリウム系電子デバイス

シリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)で作られている従来の電子デバイスの動作温度は100 ℃程度であるため、自動車などのように高い温度環境では使用が制限されている。また、ガリウム砒素は砒素を含むため、廃棄処分した場合、環境破壊を引き起こすなどの問題がある。また、携帯電話やインターネットなどのブロードバンド製品の普及に伴い、大容量高速通信の技術が必要となり、更なる高周波・高出力性能に優れた新規材料及びデバイスが要求されている。このような要求を満足する材料として、高温・高周波・高出力特性に優れたシリコン基板上の窒化ガリウム半導体材料がある。
窒化ガリウム系半導体材料を電子デバイスに用いる場合、つぎのような特徴がある。

このトランジスタが実用化されると、以下のような製品に応用できる。 fig1

超高効率積層型(タンデム型)太陽電池及び紫外線センサー

超高効率積層型(タンデム型)太陽電池
太陽電池は、宇宙空間および地上で有用であり、衛星に長期間の電気を供給することができる。また太陽光から高い効率で直接電力を発生し、長期間にわたり維持コストが安く、しかも環境保全に適した地上での電力源として、期待されている。太陽光は紫外線から赤外線までの様々な波長の光によって構成されている。太陽電池の高効率化にとって重要なことは、波長の短い光ほど大きなエネルギーを持っていることである。 従来の太陽電池では様々な波長の光を1種類の半導体で受けるので、短波長光の持つ高いエネルギーが失われる。窒化ガリウム系半導体材料を用いた積層型太陽電池は、窒化ガリウム(GaN)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化インジウム(InN)を組み合わせ、異なる半導体の太陽電池を積層したもので、太陽光をふるいにかけるようにして順に吸収しエネルギーとして利用することができる。そのため、窒化物半導体を用いた太陽電池は、超高効率な太陽電池として実用化が期待されている。
紫外線センサー
建築物内に火災報知機の設置が義務化されたことにより、火災センサーに対する期待が高くなっており、高感度・高寿命・速応答なセンサーが求められている。火炎のスペクトルは、波長310nmにピークがあり太陽光よりも高い強度を持っているため、火災の検知には、そのピークに感度を持つセンサーの開発が必要である。また、従来の製品では、煙や熱によって火炎を感知するため、反応速度が遅いという欠点がある。よって火炎そのものを感知する窒化物半導体を用いた紫外線センサーの実用化が期待されている。
窒化ガリウム系半導体材料を紫外線センサーに用いる場合、つぎのような特徴がある。

この窒化ガリウム系半導体を用いた紫外線センサーが実用化されると、以下のような製品に応用できる。